鈴木健.txt/場外乱闘 番外編 Vol.116

スカパー!公認番組ガイド誌『月刊スカパー!』(ぴあ株式会社発行)では、毎月旬なゲスト選手が語る「鈴木健.txtの場外乱闘」が連載されています。現在発売中の2026年10月号では、第147回(本誌ナンバリング)ゲストとして2AW・吉田綾斗選手が登場。誌面では惜しくも載せられなかった部分を含めて大公開!!

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吉田綾斗(2AW)x鈴木健.txt 場外乱闘 番外編

私は今も正統的なエース。
なのに周りが歪曲させる

吉田綾斗(2AW)

正しいか、正しくないかじゃなく、
数の多い方が正しいみたいに…

プロレスラー・吉田綾斗も、ついに一般誌に進出です。

吉田 素晴らしいことです。プロレスラーになる前は、ちゃんとそういうふうになりたいと思っていた気がするんですけど、今は表に出してもいいんか?ぐらいの発言も多いんで

それを自覚していると。

吉田 まあ、プロレスという世界だから許されているとも思っているので、一歩出るとこれはあまりよくないかなあ…っていうのもある。

そこは優等生的なことを言おうと思えば言えるんですよね。

吉田 もちろん。ただ、今はやる必要がない。品行方正にやろうとしても、言われっ放しだとむかつくじゃないですか。その言ってくる連中が多いほど、こちらとしては品行方正ではいられなくなる。そういう構図です。

平たく言うと、周りが悪いと。

吉田 平たく言わなくてもそうでしょう! 「吉田綾斗だけ」(ATDK)を名乗るやつらの態度が悪すぎるんで、こちらとしてはそれを上回るしかないんですよ。もともとはある程度きれいにやっていたのに。

団体のエースとして正統的にやっていながら、藤田ミノル(フリーとして2AWに継続参戦)をはじめとする吉田綾斗を面白がる面々が「吉田綾斗だけ」(ATDK)というのを勝手に始めて、ワチャワチャやるようになった結果、それに乗ったファンの皆さんもブーイングを送るようになったというのが経緯ですよね。

吉田 そうです。自分は本来、そっち(正統派)なんです。なのに「吉田綾斗はいつも怒っている」だとか、暴君だとか言われる。よけいなことするな、面白がってブーイングをするんじゃなく、ちゃんと声援を送れ…これ、真っ当な要求じゃないですか。でもそれを口にするとよけいにブーイングが飛んでくる。それが今の2AWですよ。きれいにできるわけがないやないですか。

それが3年も続いている状況ですからね。フラストレーションが溜まっているのでは?

吉田 溜まりまくりですよ! 本意じゃないんだから。だから不満はずっと言い続けています。この3年間は9割がそういう発言。でも、言えば言うほど周りはエスカレートしていくんですよ。だから自分は、もはやどうしたらいいかわからない。中にはちゃんと声援を送ってくれるファンの方もいますけど、哀しいことに少数派になってしまっているんです。圧倒的に私が何かやればブー、言い返せばブー。

でもそのブーイングを送っている観客も、試合が白熱してくると声援を送っていますよね。

吉田 だったら最初から声援を送れや!って言っているんですよ。途中からブーイングを飛ばさなくなるって、そんなのありますか? 本気で送っていないってことでしょ。藤田ミノルに踊らされて、その場のノリで言っているにすぎない。結局、声援を飛ばすんだったらなんで最初からやらないねん。私はこの3年間、それをずっと言い続けてきたのに、いっこうに変わらない。

ご本人としては正統的なエースとしての姿に戻りたいんですね。

吉田 戻るも何も、私は今もそうなんですよ。でも周りがそれを歪曲させている。じゃあ、ハッキリ言いますよ。戻りたいです。なぜなら、そうあるべきだから。それを変えてしまったのはあなた方ですよと。

3年間、そんな状況が続いているにもかかわらず、投げ出さずにやっているのは立派だと思います。

吉田 別にしたくてそうしているわけじゃないんですけど、リング上でもSNSでもいろんなところから、いろんなやつから(理不尽な言葉が)飛んでくる。そこで投げ出すっていうのは無視とかすることでしょ? それはむかつくからしないです。だから一人ひとりに対してしっかりと怒ってあげています。そういうのはよくないからって教えてあげています。

1人対多数ですよね。

吉田 増えていく一方なんで。調子に乗るやつらがいっぱいいて…最初は藤田ミノルだけだったのが、今では「おまえ、誰やねん!」みたいなところから飛んでくる。

まったく面識がないようなプロレスラーもXで絡んできますよね。ああいう事例は綾斗選手しかないです。そちらの数が多いことで、マジョリティーになってしまっている。

吉田 よくないですよ。正しいか、正しくないかじゃなく、数の多い方が正しいみたいになってしまっている。でも、ここで自分が「よくない」って言ったらまた(ATDKの面々が)焚きつけるじゃないですか。

これって、前例がない形だけに2AWの外にいる人たちに伝えるのが難しいですよね。よもや同じユニットのメンバーたちから茶々入れられたり褒め殺しのようにワッショイワッショイされていたりする団体のエースが世の中にいるなど、想像もしないでしょうから。

吉田 説明しづらいし、そこで自分から説明するのもよくない。自己発信にすると、率先してそういうふうに仕向けているんじゃないかって勘違いされるんです。

吉田綾斗は、嫌だ嫌だと言いながら実は求めているから自分で言っていると。

吉田 そう! それ、本当に困るんですけど。

私の口からざっくり説明すると「すごく正統的で、完ぺきなエースの周りで悪ふざけを始めた人間がいて、それを面白がってどんどん増えていった結果、気づいたらそれに反発しただけの吉田綾斗が悪者のように仕立て上げられていた」…これでよろしいですか。

吉田 今、改めて聞いているだけで嫌な気分になります。初めて2AWを見に来るお客さんって、そのスタートを知らないから「吉田綾斗って本当に悪いやつ」と思う人間が増えていて不愉快です。これ、完全に印象操作ですから。

2AWはよく千葉県内などでイベントプロレスをやりますが、そこではたまたま見に来たような層の観客もいるわけじゃないですか。そういう方々はどんな反応をするんでしょう。

吉田 これが、初めて吉田綾斗を見るくせに開始後1、2分でブーイングするんですよ。

ATDKに扇動されて。

吉田 だからこっちは「おまえは俺のこと知らんやろ! なのに適当にブーブー言ってんちゃうぞ!」って返していたんですけど、言ったら言っただけまた飛ばしてくることに気づきました。だからやめさせる術さえないので、悪循環が止まらないです。

そういう現状だからこそ、この機会に「本当の吉田綾斗はそうじゃないんだ」ということを大いにアピールしていただきたいと思うんです。

吉田 あのー、そういうのはずっと言ってきているはずなんですけどね。「俺は間違っていない、絶対に!」っていうのは伝えているつもりです。

予備知識がない方が本意を受け入れてくれるんじゃないですかね。

吉田 でもね、そこで受け入れたとしてもいざ会場に来てみたらできあがっている嫌な空気のようなものに人って飲まれがちなんですよ。初めて来たけどそういうものなんだ、吉田綾斗にはブーイングを飛ばすように、こっちが対応してあげたらいいんだ!みたいに、変に理解があるよう振る舞ってしまう人ばっかなんです。なんでそこで当初の逆をいくのかっていったら、その方が面白そうって思う人間の方が残念なことに世の中は多いんです。それがこの3年間でわかったことです。さっきも言いましたけど、ちゃんと最初から声援を飛ばしてくれて「私はブーイングしないですから!」って言ってくれる人はいるんです。

健気ですね。

吉田 でも、圧倒的な人数の差によって声援を飛ばすことができなくなってしまう。それで試合中、その人からの声援が聞こえないなと思っていたら「人数が多いから完全に負けてしまうんです。声援を消されるので、せめてブーイングをしないことで精一杯の抵抗をしています」と。

肩身が狭い思いをさせてしまっているんですね。

吉田 正しいことをやっているにもかかわらず、少数派になってしまう。そうなると、黙るしかないから、応援も途絶えてしまう。

もはや同調圧力。団体としては当然ながら観客動員を増やしていく必要があるわけですが、このままでは増えるごとにブーイングの量も増えていくことになってしまいます。

吉田 ああ、でもブーイングされたからって、それを理由にこっちが弱くなったり心を削られたりすることは100%ないんで、そこはまったく動じませんよ。イラつきは増すけど、それで自分が左右されることはない。ただ、理想としては声援がいっぱい飛んできて、大歓声の中で闘うのが…この数年、本当にないですからね。

後楽園のタッグ挑戦はすべてが
変わるタイミングになるかも

開始のゴング直後からの大「アヤト」コール…遠い昔のように感じます。これを読んでもらうことで、久しぶりに次のビッグショー(10・12後楽園ホール)で現出したらいいですよね。

吉田 後楽園のカード、そもそも俺にブーイングを飛ばすことで相手チームを応援するのも意味わかんないでしょう。拳剛(フリー)に本田アユム(反体制ユニットのMJ2所属)と、そんな悪いやつらを応援することになるんやけど、それでいいの?って聞きたいです。

現2AWタッグ王者組の本田&拳剛組に対し、藤田選手とのビデオメッセージで挑戦表明をしましたよね。このコンビでタイトルを狙うことに関しては、同意の上でのことなんですか。

吉田 あれも突発的に藤田ミノルが言い出したことで。いや、そうは言うても吉田&藤田組ってなんも実績あらへんやろって言ったんです。1年前に、TTT(トリプルT)という団体でタッグのベルトを2人で獲ったことがあったんですけど、その時も藤田ミノルが仲間にベルトを譲渡しようとして、当然認められるわけもなく結局、ベルト返上になっちゃったんですけど、それ以外で何か結果を出したイメージがないし、なんなら2人だけのタッグなんて数えるほどしかないんで。それを本人に言ったんですけど「本田さんを必ず後楽園ホールでこっちの仲間に入れます!」っていう見当違いの答えしか返ってこないんで、会話にならないんですよ。

そのビデオメッセージでも、藤田選手は自分たちが勝つことによって本田選手をATDKに入れたいと言っていました。むしろベルトよりもそっちの方が主目的であるかのように。

吉田 謎理論でしょ? だって、私らがベルトを獲ったら本田アユムがこっちに入りたいってなるかどうかなんてわからないじゃないですか。

本田選手がMJ2(真霜拳號、最上九、ナカ・シュウマとのユニット)を離れるというのは考えにくいです。

吉田 本人がそう思わない限りはないのに藤田ミノルが言い続けていて、それをビデオにしただけです。だから別に納得して組むわけじゃないんですけど、やる時はやるかぐらいは思っています。まあ、実績はないけど吉田と藤田が組んだら、獲る力はあるし。個の闘いとしてやりますけど。

タッグチームとしてではなく吉田は吉田、藤田は藤田としてやっても勝てると。

吉田 吉田&藤田で何かしようとしてうまくいった試しがないんで、お互いがタッチだけしっかりして、お互いが順番にちゃんと出ていけば個は強いはずです。

タッグのベルトを獲得したら、今まで以上に藤田ミノルと一緒にやる機会が増すわけですが、そこはいいんでしょうか。

吉田 いや、ベルトがない今の時点でも、俺は月に何回この人と会ってんねんっていうぐらい会っているんで。私は別に藤田ミノルと常に行動することに対し、怯えているわけではないですから。

そうですか。ただ、タッグのベルトを一緒に巻いた姿を披露でもしたら「やっぱり吉田と藤田って、実はちゃんと絆でつながっているんだ」というようなイメージが先行してしまう恐れがあるのではと。

吉田 あー、そういう受け取り方か。あのね、これは仲悪いって見てくれっていう話でもないんですよ。別にどう見られてもいいから、それこそ本当はしっかりやれるんだとか見られてもいいから、藤田ミノルがふざけないようになって、それを見たお客さんが吉田にブーイングするのはやめようっていう流れになるのが一番です。むしろ藤田ミノルが、今の私に対する所業をやめるきっかけかもしれない。だって、藤田ミノルがいなかったらこの流れは終わらないわけだから、このタッグベルトを獲ることによってかつての状況が取り戻せるかも…今、考えているうちに目的が浮かんできたわ。

潮目を変えるタイミング。

吉田 これはもしかすると、すべてが変わるタイミングになるかもしれない(嬉しそう)。

物事が変わるのは一瞬だって言いますからね。ただ世の中、すべてがうまくいくとは限らないので、むしろよけいに取り返しのつかぬ方向へいかなければいいのですが…心配です。

吉田 でも現状がよくないわけだから、なんらかの変化はあった方がいい。たとえ悪くなる可能性もあったとしても、このまま何も起こさなかったら変化は来ない。もしかするとメッチャ悪い方に振り切ることになるかもしれないけど、これぐらいのことをした方がいい気もするんで。

試合中、仲間割れとかはないですよね?

吉田 それを言ったら吉田綾斗だけ(ATDK)のメンバーを誰も仲間とは見ていないんで、割れようがないです。

仲間割れようがない!

吉田 あいつらが勝手にまとわりついてくるだけで、おまえなんかと組みたくない、おまえはここに来るな、おまえはセコンドにつくなって言いたいことは全部言っているんですよ。でもあいつらはノーダメージで距離を詰めてくる。突き放した結果、割れるんであればむしろ歓迎ですけど、割れない。ATDKって出入り自由っていう謎のルールみたいなのがあるようで、本当に消えたのは最上ぐらいでしょ。

MJ2に寝返りました。

吉田 そうやってポンポン外れていってくれたらよかったのに、気づいたらサブメンバーみたいな人間までいる。ほとんどウチには上がらないようなやつが、上がった時だけATDKのTシャツを着てリストバンドをつけている。そういうやつがプロレス界にいっぱいいるんですよ。

仲間割れのしようがないとは言っても、藤田選手と綿密に作戦を立てて臨むというようなことはしないでしょうね。

吉田 会話が成り立たないんだから、作戦の立てようがないです。こっちが勝つために真面目な話をしても、おふざけで返ってくるんだからラリーにさえならない。自分に置き換えてみてくださいよ。真剣に勝ちたくて、そのために話し合おうと思って顔を見るとニヤニヤしていたら、どうします?

ブチ切れるかもしれません。藤田選手、年上ですよね。

吉田 16歳上だから、もう49歳にもなってそんな調子なんですよ。だからたとえ年上でも日々、注意しています。タッグのベルトは獲りますけど、獲ってからもあんまり一緒のリングに上がっちゃダメな人です。

防衛戦の時のみ組むとか。

吉田 十分あり得ます。

そのようなチームが挑戦するタイトルマッチに対し、我々は何を期待すればよろしいんでしょうか。

吉田 期待よりも、ここ数年なかったぐらいの吉田に対する大声援を飛ばしてほしいです。今のままでいったら、2AWのエースが悪い人たちと対戦しているのにブーイングを受けているという、おかしな状況になる。だからこのインタビューを見て、2AWにいこうと思ったあなたこそが現状を変える可能性を持っているんです。見れば相手チームの2人がいかにも悪くて怖そうな人だっていうのは一発でわかるから、その受け取り方に対し正直になってください。

現場の空気に流されて、吉田綾斗にブーイングした方が面白そうだなんてことは…。

吉田 絶対にしないでください。ちゃんと声援をしなさい。それが少数派だというなら、声の大きさでブーイングを上回ればいいじゃないですか。数で劣っているからといって消沈することなんてないんですよ。吉田綾斗を応援することに自信を持てばいい。後楽園ホールが、あなたたちの吉田綾斗に対する声援で変わる…そんな歴史的な日になるかもしれない。

本田選手に関しては熟知していると思いますが、2AWに参戦するやまたたく間にタッグ王座を獲得した拳剛選手はどう見ていますか。

吉田 ウチに上がるようになってからはまだ触れていないんですけど(取材の時点)、試合のスタイルやマイクとか聞いていると、MJ2にいること自体はすごく違和感がありますね。

そういうものですか。

吉田 この前(8・23TKPガーデンシティ千葉)、花見達也とシングルマッチをやっていましたけど、むしろそっちの方にいるような人間なんじゃないのかって。

正統的なスタイルでできるだろうにと。

吉田 うまいこと真霜拳號に誘われたのか、適当にそこへいるだけという感じもするしな。別に(MJ2に対し)仲間意識とかないでしょ。

拳剛選手のキャリア的にはブードゥマーダーズやBAD BOY(みちのくプロレス在籍時)といったヒールユニットに在籍することが多かったので、我々的にはMJ2が合っているという気がします。

吉田 だからこそ本人も、そうあるべきだぐらいに思っているだけなんじゃないですか。だってそんなにMJ2の人間とつながりあったわけじゃないんですよね。だから本田&拳剛と言われてもしっくりこないし。

孤軍奮闘のスペシャリスト
ATDKは壊滅させるべき

その2人は天龍プロジェクトのリングへ同時期に上がっていました。まあ、2AWのリングに上がり続ける中で、あのポジションが自分にとって動きやすいっていうのはあるかもしれないです。普通に単身で乗り込んできても、すぐにタイトル戦線に入れるというわけではないでしょうから。

吉田 確かに確かに。そういう意味では、うまいこと(MJ2を)使っているだけぐらいの感じじゃないですかね。

個人的には吉田綾斗vs拳剛はとても楽しみなんです。

吉田 自分も最近は、熱い闘いのような場面に遭遇していない気がするんで。こっちは、ずっとそのつもりでリングへ上がっているのに、相手が違う方、違う方に持っていこうとする。そういう意味では、拳剛だったら絶対にそんなことをやるようなタイプじゃないから、久しぶりにそういう部分を楽しめたらいいですよ。

吉田綾斗の熱い闘いが何年ぶりかに見られる。

吉田 したくてできない身になってみてください。

ところでATDKに本田選手をほしいと思っているんですか。

吉田 まったくいらないです。自分はずっと言っています。ただ、ATDKで自分以外の全員がなぜか本田アユムが大好きなんで入れたがっている。「ほんちゃん、ATDK」っていう言葉をずっと言い続けているんですけど、本田アユムは別に入ろうとしていないのを知っているんで、ウチの人間を止めなければっていうことですね。

でも、関節技職人の本田選手を加入させればユニットとしてパワーアップするのは確実じゃないですか。

吉田 いやいや、邪魔なだけです。あのね、ウチの人間は誰であろうが増えない方がいいんですよ。増えると、ロクなことがない。全員のふざけっぷりが増すだけだから減らしたいんです。基本的にこのユニットは、壊滅させるべきだと思っているんで。何をやってもひっついてくるからあいつらにバンバン手を出すんですけど、それでもひっついてくるような連中ですよ。増える一方。

ということは、吉田綾斗だけ(ATDK)いうユニットはなくしたいんですね。

吉田 ずっと言っています。存在するメリットが何一つないやないですか。そもそもユニット名からして破綻しているし、スタートの時点で自分は否定派でした。

だとしたら、勝手に誰かと組んで別のユニットを作っちゃえば現状から脱却できますよ。

吉田 そうなんですけど…あのね、そういう人間が本当に一人もいないんですよ、残念ながら。今のプロレス界で、まあまあ自分も孤立しているなとは思います。

この人とともにやっていきたいと思える人が皆無だと。

吉田 かかわるとみんな腹が立つから。この世界には、むかつくやつしかおらん。

あまりいいことではないですよ、それ。

吉田 仕方ないです、そうなってきちゃったんで。いいやつがいたらええですけど、出逢えていないんで、ずっと孤軍奮闘です。

孤軍奮闘のスペシャリスト。全幅の信頼を置けるパートナーがいないのに、よくやっていますね。プロレスというジャンルは、そういうものを紡いでいくためにあるようなものじゃないですか。

吉田 よくやっているって言われたら、自分でもそうだなって思います。だからもっと褒め称えてほしい。

人間不信か何かなんですか。

吉田 人間不信ではないです。誰も彼も拒否しているわけではないんで。ただ、周りにいるプロレスラー、関係者が悪いやつらばっかりだから。プロレスラー以外なら信用できる人はいっぱいいます。プロレスラーは、信用できません。

きっぱり言いました。

吉田 だからユニットなんていうものは論外ですよ。そうじゃないと思える人間に出逢えるのが理想ではありますけど、今は(周りの人間を)切る作業で手一杯なんで、自分から探すどころじゃないです。

寂しくはないですか。

吉田 ないです。よく言われるんですけど、言われたら言われたで腹が立つ。寂しいわけがないやろ!って。

……強がっていませんか。

吉田 (光の速さで)ない!

小さい頃から一人が好きだったんですか。

吉田 まあ、そうですね。でも、友達はいたからすごく大事にしていました。だから、プロレス界という場所がこうさせましたね。この世界は一人で生きていく方がいいなって。

あまりいい場所ではないですね。にもかかわらず続けている。

吉田 それは、プロレス自体は好きだから。嫌だなと思う場所でも、好きなプロレスがある限りはやりますよ。その上で、プロレスラーは一人でやっていくべきというのが自分の中で出した答えですよね。

突きつめると、プロレスラーは個人事業主とはよく言われることです。でも、自分が窮地に陥った時、助けてくれる人がいないというのもシンドくないですか。

吉田 今がその窮地なのに、誰も助けないじゃないですか。

それは、あまりそう見られていないからでは?

吉田 そうですか? いやいや、どう見てもよくない状況やろ。こんなに周りが敵だらけになるとは思っていなかったし…残念ながら、それが伝わっていないってことか。

よく俯瞰で見られますね。

吉田 それはだから、自分が一人で大丈夫な人間だからですよ。そんなことで心をやられるような吉田綾斗ではない。それでも、声援はやっぱり嬉しいんです。ブーイングをするなって言うと、中には「じゃあ、何も反応しなくていいんですか?」とかひねくれたことを言うやつもおるけど、反応をなくせっていうんじゃなくちゃんと声援することを実行してほしいって言っているんです…ああ、でも…。

どうしました?

吉田 ここでもう、何回もそれを言ったじゃないですか。そうすると「振りでしょ?」とかいうやつが出てくるんですよ。それがまた面倒臭い。

自己発信してもそのように受け取られるのであれば、ここは自然な機運を待つしかないですね。

吉田 でもね、こういうのはそれでも言い続けるのがベストな気がするんです。自分が言い続けることによって、それで振りだとかいうやつが増えたとしても、そろそろブーイングをやめますっていう人が少しでも出るんだったら訴え続けた方がいい。

気づいてくれる人たちに懸けたいと。

吉田 そうそう。そこで何も言わなかったら、そういう人たちも出てこない。間違っていることは、間違っていると言い続けることが重要なんです。

悪ノリする大人たちの不条理と、3年も闘っているプロレスラーがいることをもっと世間に知ってほしいと思います。

吉田 ヘンなメッセージ性がありますよね、そんなつもりはないのに。理不尽なものに対しくじけることなく…って、伝わるかな。エールになるかな。

ほかにそういうプロレスラーがいないから、伝わると思います。

吉田 当たり前じゃないですか、こんなの、いちゃダメですよ! 私のようなプロレスラーがほかに出ない健全な世界をこのプロレス界に望みます。

今の状況から脱却できたあかつきに、2AWで形にしたいことは何かございますか。

吉田 個人的な実績でいったら、団体内に関してはやり尽くしたなという思いはあります。シングルでもタッグでもベルトは獲ったし、シングルのトーナメントも優勝しているし、こいつには勝ったことがないという相手も中にはいない。選手会長として、エースとしてこの団体のために何かをしてあげようという気持ちもないし。

6月のビッグショー(6・21 TKPガーデンシティ千葉)で発売された最新パンフレットのインタビューでも「団体が吉田を愛さないのだから、自分も団体を愛さない」と言われていました。団体愛などいらぬ!と。

吉田 雑に扱われる身としては、そうなるのが当然じゃないですか。だから、自分のためだけに、あの時代を取り戻したいです。それが今、プロレスを続ける上でのモチベーションになっています。どうせ…なんて思っていない。毎回「今日こそは!」と思って会場にいっていますから。

2AW内はそういう感じですが、今後のキャリアの中で他団体に絡んでみたい選手はいますか。

吉田 ランディ・オートン(WWE)。2AWスクエアに呼んで…もっと現実的な方がいいですか。

いえ、そういう夢を持ち続けるのはいいことです。比較的近いところにいる選手では?

吉田 同じ時期に(LION’S GATEで)やっていた辻(陽太)さん、海野(翔太)さんはもちろんだし、そのあとそっち(新日本プロレス)を主戦場にしたジェイク・リー(全日本プロレスで「陣」というユニットを組んでいた)は、やれるのであればやっておきたいです。

中でも海野選手とはWORLD TAG LEAGUEに組んで出場しただけに、どこかで再会したいですよね。

吉田 ブーイングを受けている者同士で。

言われてみれば似たような境遇にいます。あのう、団体愛はないといいながら、2AWにずっと在籍し続けているのは、何が綾斗選手をつないでいるんでしょうか。

吉田 なんでい続けているのかって言われたら、生まれ育ったところにずっといるだけっていう感覚なんですけどね。ほかに選択肢がないわけではないし、いろんなことを考えて生きてはいますけど、たまたまいるっていうだけですよ。2AWの人間たちに言いたいのは、いつまでもあると思うな吉田綾斗っていうことです。

通常、こうしたインタビューでは「ウチの団体はこういうところが売り」ということをアピールしてもらっているんですが。

吉田 自分だけ見てくれたらいいです。次の後楽園も2AWを見に来るんじゃなく、あくまでも吉田綾斗を見に来なさい。

吉田綾斗を見に来て、ほかの選手も目に留まったらリピーターになるかもしれません。

吉田 いやいや、そういうのはいいから。

花見達也選手がカッコいいと言ってハマる人も…。

吉田 それはないな。

※吉田綾斗だけ(通称・ATDK)ーー’24年に藤田ミノルが発足させたユニット。過剰に吉田を持ち上げることで吉田をイラつかせる集団として2AWのチチャリート翔暉が加わり、そこへ梶トマト(2AW OB=現・飯伏プロレス研究所)やヤス・ウラノ(KAIENTAI DOJO OB=現・フリー)、中野貴人(プロレスリングBASARA)らが顔を出すようになる。それ以外にもX上で吉田へ絡んでくる他団体選手も多数あり。