鈴木健.txt/場外乱闘

スカパー!公認番組ガイド誌『月刊スカパー!』(ぴあ発行)のスポーツ(バトル)では、サムライTVにてDDTプロレスリング中継の解説を務める鈴木健.txt氏が毎月旬なゲスト選手を招きインタビュー形式で連載中の「鈴木健.txt/場外乱闘」が掲載されています。
現在発売中の2015年4月号には、第19回ゲストとして全日本プロレスの潮﨑豪選手が登場。誌面では惜しくも載せられなかった部分を含めて大公開!!

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※鈴木健.txt氏 twitter:@yaroutxt facebook:facebook.com/Kensuzukitxt

全日本プロレス潮崎豪x鈴木健.txt 場外乱闘 番外編

一発で面白さに
気づいてもらえるのがこれからの王道

第51代三冠ヘビー級王者
全日本プロレス・潮﨑豪

あの頃の三冠を超えなければ
チャンピオンになった意義はない

―1月に初の三冠ヘビー級王座に就き、2カ月が過ぎました。

潮﨑 早かったですねー。全日本プロレスの三冠王者・潮﨑豪としてのイメージはつけられているとは思うんですけど、まだ会場やサムライTVさんでしか見た人にしかついていないと思うんで、これからでしょうね。

―獲るまではそれだけを考えていたと思うんですが、獲ってみてわかったことは何かありますか。

潮﨑 そこに関しては、今でも全日本プロレスとイコールで結ばれるのは秋山(準)選手、大森(隆男)選手といったところだと思うんです。だからこそ、今度(宮原)健斗と防衛戦をやるんで(3月27日、後楽園ホール)、新しい全日本プロレスの形を見せなければっていう思いが強いですよね。彼とは同じユニット(Xceed)でやっているわけですけど、ユニットとしての立ち位置と、個人としての立ち位置の両立がなかなか難しい。今までは、ユニットとして大きくなっていくことを考えていればよかったけど、三冠王者になったら健斗のように同じユニットの選手ともやらなければいけなくなる。

―それがシングル王者の宿命です。

潮﨑 まず今は、未来につながる闘いをしていきたいです。もちろんこのタイトルには歴史の重みというものがあります。ベルトの形は変わりましたけど(インターナショナルヘビー、PWFヘビー、UNヘビーの3本のベルトが2013年10月より一本化)、自分も小さい頃に見ていた三冠戦はもの凄い闘いばかりだったんで、それに負けない試合を…という意識はあるんですけど、でもあの時を繰り返すことは自分の中でしないというか、それをマネすることなんてできない。だけど、あれを超える闘いはできると思うんです。だからこそ、自分なりの三冠の道というものを築いていきたいし、それができなければチャンピオンになった意義もないと思いますし。自分がよく口にするのは“新しい王道”を形にしたいです。

―潮﨑さんの中でパッと思い浮かぶ三冠戦のイメージというと、どの選手になりますか。

潮﨑 それはもう、四天王(三沢光晴、川田利明、田上明、小橋建太)の方々にプラス、スタン・ハンセン、スティーブ・ウイリアムス、ベイダーの最強外国人がやっていた頃になります。今はジョー・ドーリングという外国人がいますけど、僕はその人たちよりもジョーの方が凄いと思っています。日本人に関しても初防衛戦の相手だったゼウス選手は全日本所属でないけどこれも凄かったし、健斗のあとには諏訪魔選手、KENSO選手、曙選手、もちろん秋山さんや大森さんを含めると、メンツとしてはあの頃の三冠戦を超えられる人間が揃っているんで。

―確かに、90年代後半から2000年代にかけての三冠戦線は本当に限られた選手たちの間で争われていましたが、今は人数的にそれ以上の選手が揃っていると思います。これまでシングルで対戦した相手も、ベルトが懸かれば意味合いが違ってきますし。

潮﨑 今までは、三冠戦というシチュエーションであっても僕が挑戦する方でしたからね。それがこれからは、僕がチャンピオンに回ってそういった人たちの挑戦を受けるとなると、同じ対戦カードでもまったく違ってきます。そこがプロレスの面白いところだと思うし、闘いも見る側の受け取り方も無限大に広がっていくと思います。

―そんな中で、先ほど出ました自分なりの新しい王道プロレスとはどんなものだと考えていますか。

潮﨑 見たことがない方でも入りやすいプロレス。僕はわかりやすいプロレスを心がけているんですけど、その中でも攻撃だけでなく受けることの凄さも初めて見た方に感じてもらえるのが全日本だと思うので。今、プロレスという言葉が世間にもだんだん届いてきていますけど、じゃあ見てみようかとなった時に一発で面白さに気づいてもらえるのが、これからの王道プロレスだと思っています。

三冠王者が今以上にポジションを上げるには
CCに優勝するしかない

―4月にはシングルのリーグ戦「チャンピオン・カーニバル」があります(4月5日、沖縄で開幕)。三冠王者として初めて出場するわけですが、これまでとの気持ちの違いはありますか。

潮﨑 三冠云々以前に過去2度出場しながら優勝していないんで、その点でのトップには立っていない。もちろん、チャンピオンとしてのプライドと責任は持ってやるし、それこそすべての公式戦が防衛戦という姿勢で臨みますけど、三冠を持っている人間が今以上に自分のポジションをあげるためには優勝するしかないので、それは過去とは違いますよね。

―カーニバルには全日本の主力勢が揃って出場し、全員が優勝を目指します。現在の全日本プロレスはどのように映っていますか。

潮﨑 僕はもっと、各自が欲を持ってそれをアピールした方が面白くなると思います。なんていうか、タイトルマッチに絡んだ人以外にはスポットが当たっている感じがしない。それ以外の選手たちもアピールすることによって、そのスポットライトを自分の方へ向けさせるぐらいの方がいいじゃないですか。

―KENSO選手あたりはけっこうアピールしているように見えますが。

潮﨑 いや、もっとですね。まだ足りないですよ。まあ、そうは言いつつもジョーからベルトを獲った直後に挑戦の名乗りをあげられた時は「ちょっと待ってくれよ」って思いましたけど。ベルトを獲って感動している矢先に来られて、余韻も何もあったものじゃなかった。

―ちょっとぐらい喜ばせてくれてもいいですよねえ。

潮﨑 まあ、それも狙われる人間の宿命ですから。そうやって名乗りをあげてくる人間は大歓迎。僕はNOAHにいた時、GHCヘビー級のベルトを獲って追われる立場を経験しましたけど、追う立場にはないモノがあるじゃないですか。先が見えない魅力っていうんですかね。こうしたいというのはあっても、どうなっていくかはやってみなければ見えないんですから。あとは責任感もベルトのみを追い求めている時とガラッと違ってきますし、タイトルマッチ以外の試合でもより気を引き締めてリングに上がらないと失礼になる。ベルトを持つことによって、おのずと意識が変わってくる。そういう力を実感しますよね。

―単に強い人に与えられるアイテムとは違うのが、チャンピオンベルトです。

潮﨑 常に一番でいなければいけないし、常に弱いところを見せちゃいけない。自分がファン時代に見ていた三冠ヘビー級王者は常に走り続けてきた人たちばかりだったんで、僕の中にもチャンピオンっていうのはそういうものだというイメージがありますし、その上で先を見せていく。それが僕の中にある三冠チャンピオンらしさなんです。だから、先が期待できるチャンピオンになりたいです。