鈴木健.txt/場外乱闘 番外編

スカパー!情報誌『月刊スカパー!』のプロレスコーナーでは、サムライTVのDDTプロレスリング中継の解説を務める鈴木健.txt氏がゲストを呼んで話を聞く連載「鈴木健.txtの場外乱闘」が掲載されています。
現在発売中の2015年5月号には、第20回ゲストとして666・宮本裕向&ユニオンプロレス・石川修司の両選手が登場。誌面には載せられなかった部分も含め、改めてアップします。

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※鈴木健.txt氏 twitter:@yaroutxt facebook:facebook.com/Kensuzukitxt

宮本裕向(666)石川修司(ユニオンプロレス)x鈴木健.txt 場外乱闘 番外編

デスマッチとストロングBJは
分けない方が面白い

宮本裕向(666)
石川修司(ユニオンプロレス)

デスマッチヘビーを持ってストロングに挑戦するぐらいの気持ちがある

―ストロングBJ代表とデスマッチ代表としてお二人にお話いただきます。
まず、デスマッチから見てストロングに、ストロングから見てデスマッチに聞いてみたいことはありますか。

石川 僕はデスマッチヘビーのベルトも1度巻いたことがあるんですけど、ツアーで毎日のようにデスマッチを続けるという経験はしないままだったんです。そういう時って、体の処理はどうしているんですか。

宮本 メンテナンスのこと? 人それぞれだと思うけど、僕の場合は大きな傷は病院へいくようにしてこだわっています。

石川 それは当たり前じゃないの?

宮本 いや、けっこう縫わずにそのままやる人もいるじゃない。そこは無理せずちゃんと病院で縫ってもらうようにしていますね。

石川 僕は一回、ケツの穴あたりに蛍光灯の破片が刺さったままで、ずっと謎の出血をしていたことがあって。

―お尻だけに出血と。

石川 2週間ぐらいお爺さん用のおしめをしていました。それが傷としては一番深かったかな。今もエクボみたいな跡が残っている。

宮本 そんな大きなおしめってあるの?

石川 あったんですよ。

宮本 僕は左親指の付け根の方に蛍光灯の破片が入っていて、病院で治してもらったんですけどそれでもまだ痛いと。左手って、ロープ振る時とかよく使うじゃないですか。毎回使うともの凄い激痛が走ったんで、おかしいと思ってもう一回病院へいったら、縫った中にまだ破片が入っていたんですね。また開いて縫うという。けっこう面倒くさかったですよ。試合でやることだから、だいたいは緊急で飛び込むわけで。そこで整形外科の先生がいなくてほかの先生に診てもらったりすると、そういうことが起こるんです。ストロングヘビーのベルトは僕、一度も巻いていないんですけど、ストロングってプロレスの原点じゃないですか。いろんな見せ方がある中で、強さを見せるというのは。だからすごく興味がありますよね。自分より何倍も体のゴツい人たちが多い中で、デスマッチヘビーのベルトを持って挑戦するぐらいの気持ちがあります。

―宮本選手はデスマッチファイターでありながら以前にストロングBJ選手によるシングルのリーグ戦(一騎当千)に出たこともありました。

宮本 スタイルに関してはやれるっていう自負がありますから。まだ両方のベルトを懸けてやったことってないんですよね?

―BJW認定デスマッチヘビー級とBJW認定世界ストロングヘビー級の2冠戦はないですね。

宮本 ダブルタイトル戦になるかどうは別として、デスマッチのベルトを持った人間が通常のルールでストロングに挑戦するというのもアリだと思うんです。

石川 どちらも頭を使ってやりますけど、デスマッチの方が特に頭を使うわけじゃないですか。アイテム(凶器)をどう使ったらお客さんが沸くかとか、効果的なダメージを与えられるとか。そうした頭脳は通常のルールの中でも生かせるから、そこがデスマッチファイターの脅威でしょうね。あと、デスマッチをやっているとケガが絶えないんで、休む理由を作りやすい。僕もデスマッチで大きな傷を負ってしまったあとはウエートトレーニングができないこともあったんですけど、みんなちゃんと練習を続けている。当たり前なんでしょうけど、蛍光灯で体がズタズタになった翌日もジムにいくことを想像してみてくださいよ。

宮本 でも、ストロングの人たちはみんな凄い肉体をしているわけで。ウエートで挙げる重さや練習量がハンパじゃない。

石川 最近、大日本のストロングBJはデカい人が増えているからね。関本大介、岡林裕二、河上隆一、他団体だけど佐藤耕平さん(ZERO1)もそうだし。デスマッチとは違った迫力を表現できるメンツが揃ったと思います。

7・20両国進出…
体を張ってやってきたから大日本に愛着がある

―同じ大会で2つのタイトルマッチが並んだ場合、対戦相手とは別にもう一方を意識するものなんですか。

石川 僕はまだ、一緒になった時がないんで。ただ、あっちの方がよかったとは思われたくないですよね。どっちも面白かったというのがベストですけど。

宮本 もともとは大日本の最高峰っていったらデスマッチヘビー級だったのが、ストロングBJが盛り上がることでストロングヘビー級のベルトも新設されたけど、僕はデスマッチをやらない人たちのためのベルトはあった方がいいと思っていました。ただ、この人たちはデスマッチで、この人たちはストロングってキッチリとは分けてほしくなかったんですよ。いろんな人と対戦したかったから。

石川 ああ、それは同じですね。キッチリ分けられたらデスマッチヘビーのベルトを獲ったあとに、ストロングヘビーのベルトを獲ることはできなかった。どちらか一方しかできないよりも、両方できる選手が増えた方が幅も広がりますし、どちらでも通用する人間だからこそベルトを巻けるっていうぐらいに思われた方がいいじゃないですか。

―デスマッチヘビー級王者の選手はストロングヘビー級も狙える、あるいはその逆もという認識ですね。

石川 タッグリーグ(最侠タッグリーグ)ではデスマッチブロックとストロングブロックに分けて、準決勝と決勝戦では両方からの代表チームが融合する形になるわけですけど、シングルでもデスマッチvsストロングがもっとあっていいと思います。ある時はデスマッチファイターが通常ルールでぶつかっていき、ある時はストロングBJの選手がデスマッチにトライするというように。

宮本 それができるのって、大日本だけだよね。ストロングの一騎当千に出た時も、普段はシングルでやらない人たちとやれて面白かったんですよ。刺激にもなってお互いのためになると思います。

―お二人とも他団体から参戦していてベルトも巻いています。現在の大日本プロレスはどう映っていますか。

石川 あー、それはあまり気にしたことがないですねえ。まあ、大日本のファンからすれば所属の選手にベルトを持ってほしいっていうのはあるかもしれないですけど、それはどんどん声援にして選手にぶつけてもらえたらこっちも燃えて、いい試合ができると思います。

宮本 僕は(レギュラー参戦を続けていて)今に始まったことじゃないですからね。

石川 666の所属なんですか? 気持ち的には大日本の所属なんじゃないですか。

宮本 その通りです。

石川 666への思いはないんですか?

宮本 え? あ、ないです。

―そんなことはないでしょう。

宮本 でも、ベルトを巻いている以上は大日本の人間という意識もありますよ。デスマッチっていう変わったジャンルをね…。

石川 専売特許ですからね、大日本の。そこのチャンピオンになるっていうことは体を張ることになるわけで、それが団体の向上にもつながっていくわけですから、所属がほかであったとしてもデスマッチヘビー級のベルトには、そういう力がありますよね。

―大日本は7月20日に両国国技館へ初進出します。石川選手も宮本選手も国技館自体は経験していますが、大日本の…となると違ってきますか。

石川 これはね、自分がよく参戦させてもらっている団体が大きな舞台にいくのは、その中にいるひとりとして嬉しいですよね。さっき、所属の選手を応援してもらってけっこうって言いましたけど、僕の中には誰に何を言われようとも仲間意識はあるし。デスマッチにしてもストロングにしても体張ってやっていたら、そういう愛着は芽生えて当然ですよ。

宮本 666所属の僕が、ここまで来られたのは大日本のデスマッチがあったからなのは明らかなわけで。それが大きな舞台にいくのは嬉しいですけど、僕はもっともっと仕掛けてほしいなと。その第1弾が両国だとしたら年1回開催するとか、あるいは東京以外でも大会場に進出するとか。両国が大日本のゴールではないですから。