スカパー!公認番組ガイド誌『月刊スカパー!』(ぴあ発行)のスポーツ(バトル)では、サムライTVにて解説を務める鈴木健.txt氏が毎月旬なゲスト選手を招き、インタビュー形式で連載中の「鈴木健.txtの場外乱闘」が掲載されています。現在発売中の2023年2月号では、第103回ゲストとしてルチャリブレを愛するサムライTV金曜『速報!バトル☆メン』の元井美貴キャスターが「FANTASTICA MANIA」の見どころを熱く語っています。誌面では惜しくも載せられなかった部分を含めて大公開!!
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※鈴木健.txt氏 twitter:@yaroutxt facebook:facebook.com/Kensuzukitxt
開幕した瞬間から
FANTASTICA MANIAロスが
始まっちゃうんです
元井美貴(サムライTV『速報!バトル☆メン』キャスター)
ミスティコとミキティコは
まだ会ったことがないので…
コロナの影響で開催を見送られていた「NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA」が3年ぶりに復活します。元井さんにとっても、待ちに待った復活となります。
元井 メキシコの方でもコロナの影響でアレナメヒコが閉鎖されてしまったりで、ようやく500人のお客さんを入れるところから始まって、今はもうフルで入れていてやっとメキシコにも通常のルチャリブレが日常に戻ってきた中で、日本にも来られるというのは本当に嬉しいですよね。私も1月を一年間のピークにしていたところがあったので(前回までは1月に開催)、それがないというのが続いていましたから…毎年あるのかな、ないのかなってファンの方々も同じだったと思うんですけど、そういう2年間でした。
元井さんご自身は毎回、どういったところを楽しみにFANTASTICA MANIAを見ていたのでしょう。
元井 毎年規模が大きくなっていく中で必ず初めて日本で見ることができるルチャドールがいらっしゃって、ティタン選手も初来日の時から日本のファンはその成長ぶりを見続けて、今やロス・インゴブレナブレス・デ・ハポンのメンバーにもなりましたし、どの選手が日本に定着するのかというのも含めて楽しんできました。
アトランティスJrや今回初来日するイホ・デル・ビジャノⅢもそうですけど、昭和から平成にかけて見たルチャドールの息子たちがやってくる時代なんですよね。
元井 2世代目から3世代目も出てきていますし、4世代目も誕生しているんです。そういうところにルチャリブレの歴史を感じつつ、ルチャをやられている皆さんが家族を大事にしているところも伝わってきます。その中でマスクを代々受け継いだり、技も受け継いだり…アトランティスJr選手もそうですよね。そういうところにロマンが感じられると思うんです。ルチャドールに限らずメキシコの方々は家族関係をすごく大事にしていて、お父さんやお母さんに対して日常でも「愛しているよ」って言い合える関係性なんです。それほど、お父さんやお母さんに対する尊敬心が強いなって見ていて思います。
親の職業を継ぐ率がルチャは高いと思えるほど、名選手の息子・娘たちはその道を選んで、ちゃんとプロになりますよね。
元井 すごいことですよね。小さい頃から一緒に会場へいって、メキシコでは会場によっては試合前にリングが解放されて子どもたちが遊べるようにしているんです。そういったことで小さい頃からリングに慣れ親しんでいるからかなというのは感じます。日本は20歳前後の方々がプロレスラーとしてデビューしますけど、メキシコは十代でデビューしたり、二十代でキャリアが10年ぐらいあるという選手もいるので、早くから第一線で活躍しキャリアを重ねられるというのも大きいと思います。
今回、特に注目している選手は?
元井 アトランティスJr選手はもともと「日本でデビューをしたい」と直談判してこのFANTASTICA MANIAでデビューした方で(2019年1月11日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)、それ以来正統派ルチャドールとしてやってきたんですけど、日本に来なかったこの3年の間にルードとして闘うこともあれば、お父さんと組む時はやっぱりテクニコになったりで。ルチャリブレの魅力として、今では観光バスがアレアメヒコに来るぐらいになったのでわかりやすい試合をして初めて見た方にも善と悪…テクニコとルードがわかるようになっている中で、最近ではロス・インゴブレナブレスのようにルードでもテクニコでもないスタンスをとっているユニットも出てきて、アトランスJr選手も同じようにどちらもやっているルチャドールで。そういう、長年続いたルチャリブレの歴史において新しい立ち位置にいる選手なんです。
そういう意味で、日本でどんな闘い方を見せるかという関心ですね。
元井 今回はどちらで来るのかという興味ですよね。お父さんより身長が高いし、体の厚みもありながら走り込んでプランチャを出したりする選手なんで、ダイナミックな技が持ち味です。
イホ・デル・ビジャノⅢ、マヒア・ブランカ、スイシーダの初出場選手に関しては?
元井 ビジャノというのはスペイン語で「悪党」の意味なんですけど、プロレスファンなら見たことがあるであろうあのピンクのマスクを受け継いでいますし、伝統的な闘い方を見せてくれると思います。ブランカ選手はボラドールJr選手が結成したロス・デプレダドーレス(捕食者たち)のメンバーで、そのユニットは入場の時にマスクの上からユーチューバーのラファエルさんのような仮面を被ったり、裸にサスペンダーであったり、マスクに正装で出てきたりという見せ方で出てくるんです。ボラドール選手も今回、参加しているのでデプレダドーレスらしい入場シーンが見たいですね。スイシーダ選手は名前の通り(命知らずの意)トペ・スイシーダを得意としている選手で、今のうちにCMLLの中継を見て、それ以外にはこういう技も使うんだというのをメモしています。
今回、やってくるミスティコ選手は初代なんですよね。
元井 そうなんです。初代ミスティコ選手が紆余曲折あってリングネームが変わって変わって変わって、CMLLに戻ってからはカリスティコとしてやっていたんですけど(2016年9月にみちのくプロレスが開催した第6回ふく面ワールドリーグ戦で優勝)、2代目ミスティコ選手がCMLLから離れたことによってミスティコの権利が初代に戻るという(2021年8月)。10年ぶりのミスティコというドラマティックなことがあったんです。
本人もやはり戻りたかったんですかね。
元井 マスクのデザインの権利なども団体が持っていたので少しずつ変えて使用していたので、愛着はあったと思います。ただ、ファンの皆さんはカリスティコとして出てきても「ミスティコ!」と声をかけていたので、ようやく神の子が戻ってきたという感じでしょうね。ミスティコに戻ってからは初めてのFANTASTICA MANIA出場ですから私も感慨深いです。ミキティコもミスティコ選手から名前もポーズも勝手に拝借しているので…。
あ、ミスティコとミキティコはまだ対面したことがなかったんですか。
元井 並んで写真を撮らせていただいたことはありましたけど…ミキティコとは会ったことがないと思います。
「私、ミキティコというものをやらせていただいているのですが」と本人には言わなかったんですか。
元井 言っていないんです。しれっとしていました。あ、ミキティコは別人ですけどね。
せっかく会ったのに! では今回が最大のチャンスじゃないですか。
元井 チャンスですねー。本家から承諾を得られるかどうか。
いや、今回を逃したらなかなかチャンスは巡ってこないですよ。NOとは言わないでしょう。
元井 ミキティコ歴も12年になりますけど、ミスティコさんも10年ぶりであることを考えると最後のチャンスかもしれないですね。ラ・ミスティカが出た時の「これで終わりだ」という圧倒的な説得力…ミスティコ選手だけ重力のかかり方が違うんじゃないかというぐらいにふわっと飛ぶ。勢いよくトペ・スイシーダで飛ぶ選手はけっこういますけど、ミスティコ選手にしかない浮遊感を体験していただきたいですよね。
元井さんであれば「違うんじゃないか」ではなく「違う」と言い切ってもよいかと。
元井 はい、じゃあ違う重力のシステムがそこで見られます!
AEWの英語実況とCMLLの
スペイン語実況を同時に視聴
メキシカンだけでなく、日本人選手がルチャリブレの中でどんなことを見せるかというのも楽しみですよね。
元井 FANTASTICA MANIAだけは一年間の中で別の楽園と申しますか、普段はユニット対抗の中で闘っている選手の皆さんにとっても別の島になって、普段の闘いを忘れて試合をすることが多いですよね。オカダ・カズチカ選手もメキシコでデビューしているとあってスペイン語も流ちょうですし、ゲレーロスの皆さんと連係をとって闘ったりもしていましたし、そういう選手が出るのか。個人的には田口(隆祐)監督に出ていただいて独自のマスクを被って、奪われると顔を隠したりというような、FANTASTICA MANIAだけの楽しみですよね。新日本プロレスにはメキシコを経験している選手が多いので、エル・デスペラード選手が師匠のボラドールJr選手と組んだりしたら面白いと思いますし、髙橋ヒロム選手もメキシコ時代のリングネームであるカマイタチで参加したこともありましたし。
一夜限りのカマイタチ復活も見たいですよね。
元井 見たいですね。FANTASTICA MANIAだけ登場するキャラクターがいるのかというのも楽しみです。マスター・ワト選手もメキシコを経験していますし、現在は辻陽太選手が活躍されていて、試合中に扇子で仰ぐサムライのような存在でやっているんですけど、もしかするとFANTASTICA MANIAに登場するのかなとか、気になりますよね。
選手の皆さんから、普段とは違う感じで楽しめるという声を聞いたことはありますか。
元井 移動バスがすごく賑やかになるというのは、よくお聞きします。ガンガンに音楽をかけるらしいんです。
KUSHIDA選手が言っていたのは、モバイルWiFiを持っていると、みんなが「俺にも使わせてくれ!」とアクセスするためにパスワードを求めて群がってくると。
元井 それ、見たことあります。行列待ちみたいな。下田美馬さんがみんなのお姉さん役としてお世話をするので「ミマ、ミマ!」って全員にあれをやってくれと頼まれて忙しそうにしていたりで、みんなが常に下田さんを探しているという。すごくルチャドールの皆さんに信頼されているなと思います。
解説を務める時、放送席という至近距離から見るFANTASTICA MANIAはどのように映りますか。
元井 まず、メキシコの香りが漂ってくるんです。ずっとなんだろう?思っていたんですけど、選手の方に聞くと試合前に体を温めるオイルらしくて、しばらく後楽園ホール中に漂うんじゃないかというぐらいに入場時からあって、これがメキシコの風なんだなって感じました。そういう意味では五感でルチャリブレを感じている感覚になります。あとは今回、CMLLオフィシャルカメラマンのアレクシス(サラサール)さんという方もいらっしゃるんですけど、その方は初代ミスティコさんのいとこで。撮り方が斬新で、カメラマンなのに羽根の生えたシューズとか派手な格好でいられるんです。トペで飛んでくるところを下から撮ったりしつつ、撮ったその場でツイートするという。そんなアレクシスさんのお姿を間近で見られるのも楽しみですね。
今までは記者席で見ることに集中していたのが、解説の場合は見たものを瞬時に言葉にして伝えなければなりません。
元井 公平に公正に見なければというのは心がけているんですけど…今から資料は作り始めています。メキシコでの動きや情報に関してはCMLLの中継を見て収集しているんですけど、アーカイブや見逃し配信はないことが多いので、リアルタイムでしか見ることができないんです。なので毎週土曜日の午前中には家にいるようにして。時間帯が重なってしまうこともあって、AEWも同時に見るようにしているんです。
英語実況とスペイン語実況を同時に聞くという。国連みたいなことをやっていますね。
元井 楽しい時間です。そういう中継で言っていることをもっと理解したいというのもスペイン語の勉強を始めた理由でした。私は完全にルチャリブレを教材としてスペイン語を勉強してきました。2010年10月からサムライTVのキャスターをさせていただいているんですが、2011年1月にFANTASTICA MANIAが始まった時、新人プロレスキャスターとして初めてルチャリブレのツアーが始まるんだという大きな期待をもとに、ゲストにいらっしゃっていただいたりもしたんですけど、控室でルチャドールの皆さんがワイワイ言ってワーッと笑っているのに自分だけが何を話しているのかまったくわからなくて、ポツンとしていたのが寂しくて悲しくて、スペイン語を勉強しようと思ったんです。
FANTASTICA MANIA そのものが動機だったんですね。まず何から始めたのでしょう。
元井 場外カウントからですね。ウノ、ドス、トレス…と数えられるのをメモることから始めました。場外カウントが伸びると新しく数字が覚えられるという感じで。あとは選手の名前で…たとえばウルティモ・ゲレーロ選手でしたら「究極の戦士」というように単語一つずつ調べては覚えて。技の名前もその言葉の意味を調べつつ、実況を聞いて耳で聞こえたものを瞬時にメモして、こういうスペルかなと思ったものを辞書で調べて正確なものを確認する…「今“エスキーナ”って言ったな」と思ったらすぐに書いてから辞書で調べてこういう意味(コーナー)なんだ!というようにして、それをちょっとずつちょっとずつ。あとはCMLLがYouTubeで情報番組を配信しているので、選手のインタビューコーナーを聞いたりしながらですね。
本当に一つひとつの単語を覚えていくというやり方ですね。それを喋れるまでにはどうやって持っていったんですか。
元井 「DELE」というスペイン語検定の資格試験を自分の中で受けると決めて、文法を強制的に覚えるようにしました。ラジオ講座、テレビ講座、じっさいに対面で学ぶスペイン語教室にもいきましたし、考えられるあらゆる方法をやりました。
ちゃんと教室にも通ったんですね。
元井 スペインのスペイン語とメキシコのスペイン語はちょっと違ったりするので、メキシコの先生に習うようにしました。今もスカイプやズームで習っています。ゲレーロ・マヤJr選手とはお互いにスペイン語と日本語を教え合っていたんですが、今回は残念ながら来日できなくて。FANTASTICA MANIAのために日本語を覚えるというぐらい皆さん、チャンスをつかみたいという方が多いんです。
今は普通に会話ができるぐらいになったんですか。
元井 コミュニケーションをとれるまでにはなりました。文法となると間違ったりするんですけど楽しいですよね、コミュニケーションがとれるようになると。最初はあの試合よかった!と思っても選手の横にいながらなんの感想も言えなくて悔しい思いをして、ちょっとずつ覚えていざ言ってみたら返ってきた言葉がまったくわからなかったりしながらそれでまた覚えて…また悔しい思いをして来年のFANTASTICA MANIAまで頑張ろうって。資格試験で勉強してきているので、悪い言葉やスラングのような教科書で勉強していない言葉だと難しかったりしますよね。
実況の練習はカラオケで
技の名前を叫ぶ
ではもっと悪い言葉を言ってもらわないと…ですね。そうした努力が今回、本を出版するまでにいたりました(アルク刊『超初級から話せるスペイン語声出しレッスン』)。
元井 自分でビックリしました。その出版社さんが『新日本プロレス英語入門』を出版されて、プロレスラーの話す英語で勉強するというものを読んだ時に、私はルチャリブレでスペイン語を学ぶ本を出したいと思ったんです。企画書を作っていくつかの出版社さんに渡しにいったんですけど実らなくて。でも、新日本プロレス英語の編集者の方にも送ったら「いいですね!」と言っていただいて。その時は社交辞令でやんわり断られたのかなと思っていたんですけど、年をまたいで「あの話を実現させる時がきました!」と。編集者さんがプロレス好きな方なんです。もともとはルチャリブレの本を出して合間にスペイン語を学ぶというコラムを書くつもりだったんですけど、真逆になりまして。スペイン語学習本のコラムの中にルチャリブレをはさむ形にはなりましたけど、夢をかなえることができました。
ご自身で企画書を作成したということは、人にスペイン語を教えることができるという手応えが持てていたということですよね。
元井 いやいやいや! 自信というよりは単語とかマスクの色でスペイン語を覚えようみたいな、本当に超初心者の方向けの講座をコラムで書くつもりだったので、学習本の著者になるというのはまったく想定していなかったんです。
ハードルが上がったと。
元井 編集者さんも「ハードルが高いと思われるかもしれないですけど、スペイン語教室の先生が監修でついていますので難しく考えないで大丈夫です」と言ってくださって。本当に習ったばかりのものなので。ブエノス・ディアス(おはようございます)から始まって日常会話で使う単語だったり、友達から教わった単語だったり、あとはスペイン語を勉強したい方にどんなスペイン語を話したいですかと事前に聞いてそういったものを入れました。あとこだわりポイントとすれば、SNSやファンイベントで使える言葉…たとえば「○年前からあなたのファンでした」とか、推しの選手に思いを伝えるスペイン語にかなり力を入れて書きましたので、今後コロナが少しずつ収まってサイン会や握手会、撮影会でルチャドールの方にも話しかけられるように例文を作っています。
このように言えば通じるというものが明示されているんですね。いや、校正作業が大変だったのではないかと。
元井 はい、まさに。半年ずーっとやっていました。本を出すのって、こんなに大変なんだというのを知りました。特に学習本なので、ちょっとのミスも許されないので怖かったですね。
怖かった。
元井 でも無事出せましたので。イラストもFANTASTICA MANIAのパンフレットで描いている方にお願いしたんです、FANTASTICA MANIAの熱を出せるように。
ということは、FANTASTICA MANIAが始まる前にこの本を読んでおけば、さらに楽しめるということですね。
元井 そうですね、読んでぜひ会場で選手の方とコミュニケーションをとっていただきたいと思います。試合中に飛ばせる声援の言葉も入れていますので。
応援する時に飛ばせる言葉がわかるのはいいですよね。プロレスもルチャリブレもスペイン語も、もともとは気象予報士というその筋ではない仕事をやってきた中で、自分がやりたいものをこうして形にできる人生を歩んでいけていることについての思いをお聞かせください。
元井 ただただありがたいですよね。最初はG1 CLIMAXで英語通訳をやりませんか?というお話をいただいてこの業界に足を踏み入れたんですけど、そこから12年ですよね…最初はどこの会場にいっても居場所がないなと思って、後楽園ホールの階段の下で暗いところにいたんです。
そんなあからさまに入ってくるな!みたいなことを、我々はやった憶えがありません。
元井 女性で長くこの業界にいられる方は本当に少ないので、何か自分の強みを持ちたいと思ってスペイン語を勉強したというのもありますし、ルチャリブレをもっと勉強しようと思ったので、こうなれたのは嬉しいですよね。
現在は解説だけでなく実況もやられているんですよね。
元井 実況はスターダムさんで5回ほどですね。いやー、メチャクチャ難しいです。一番大変なのは、話し続けなければいけないということがシンプルに。調べたら、見たものを全部言葉にしてみたらいいとあったので、電車に乗っている時に実況の練習をマスクの下でしてみたんですけど、いつもはゆっくりしていたい方なので…お喋りな人が黙ってと言われたらストレスになるのと逆現象で、ずっと喋り続けることで心が休まらないのが辛かったですね。技の名前を覚えたりするのはむしろ楽しくて、スターダムの選手はオリジナル技がたくさんあるので最初に200個ぐらい技を書き出して単語カードみたいにするところから始めました。
そこで憶えた技名は、出た瞬間に言葉として出せましたか。
元井 なんとか言えましたけど…ほとんど試合では出てこないものでしたね。ただ言うのではなく「○年ぶりに出た!」みたいなことも言わなければならいので、そこは蓄積が必要になってきますよね。ウナギ・サヤカ選手の技は、もう言いたくて言いたくて。カラオケで技の名前を叫ぶという練習もしました。隣で聞こえた方はなんだろう?と思ったかもしれません。スターダムさんの方で、全員女性の大会をしたいというお話があるそうなので、そこには参加して女性の声で女性の試合を伝えたいです。
まだなし得ていないことで今後、実現させたいことはありますか。
元井 もっと語学を磨いて、選手の方がゲストでいらっしゃった時にMCをしながら通訳もできるようになればいいですね。英語の方は急に思い立って今年英検1級を勉強して取ったんですけど、資格の勉強と普段の会話はまた違ったりするので難しいんです。でも、基本的にオタクなので勉強するのは好きなので。
お話を聞かせていただき、元井さんは本当にFANTASTICA MANIAとともに歩んできたんだなと思いました。
元井 3年ぶりとなると、最近プロレスファンになった方は未体験の世界になるかもしれませんよね。確実に楽しめる、毎日がフィエスタ…お祭りのような大会ですし、開幕した瞬間から私はFANTASTICA MANIAロスが始まっちゃうんですよ。始まっちゃったらもう終わっちゃうんだ…みたいな。最終日に全員がリングに上がって挨拶をしてくれるんですけど、あそこで帰りたくないと駄々をこねてロープにしがみついているのを引き剥がされて帰っていくカベルナリオ選手も見ていただきたいですし。予備知識がなくても楽しめますし、スペイン語がわかったらさらに楽しめますので、どっぷりとルチャリブレに浸れる1週間を楽しんでもらえると思います。